12.目標を共有する
チームや組織で取り組む目標の場合は当然、
目標を共有しなくてはいけません。
目標だけではなく予定や分担、情報も共有する必要があります。
それらを紙一枚で見える化できるのが工程表です。
週1回、あるいは月1回の調整会議や日々の進捗確認でも、
この工程表をもとに話し合うことになります。
リーダーだけが目標を視覚化できていても不完全です。
目標を共有するとは達成時に見える景色をも共有することです。
自己啓発系の書籍で良く引き合いに出されるのが3人のレンガ職人の話です。
「何をしているんですか?」と訊かれて、
1人目の職人は「レンガを積んでいるんだ、見れば分かるだろ」と答える。
2人目の職人は「仕事をしているんだ、邪魔するな」と答える。
3人目の職人は「教会を建てているんだ、楽しみにしててな」と答える。
1人目の職人は作業に従事しています。
2人目の職人は報酬に従事しています。
3人目の職人は目標と目的に従事しています。
とある予算も工期も厳しい現場の朝礼で、
まだ未熟な所長として作業員に向けて、こんな話をしたことがあります。
「僕はこの現場でやりたいことが三つありました。
ひとつは利益を出して会社に貢献すること。
二つ目は納期と品質を守ってお客様に喜んでもらうこと。
三つ目は皆さんにしっかり稼いでもらって無事家族のもとに帰ってもらうこと。
ひとつめの利益を出す目標は最低限のレベルで、もう諦めました。
だけど二つ目と三つ目の目標だけは必ず達成したいと考えています。
そのためには皆さんの協力が不可欠です。
お客様に喜んでもらうため、皆さんに気持ちよく働いてもらうため、
安全・品質・納期これらを守るため、できることはなんでもやります。
些細なことでも気付いた事があればどんどん意見してください。
よろしくお願いします!今日もご安全に!」
そうすると職人達もプロフェッショナルです
良い仕事をしてしっかり稼いで、怪我なんかは誰もしたくない。
「所長、立ち馬がもっとあれば作業性がいいんだけど」
「わかった、いくついる?機材部に電話して用意しよう」
「遅れてる電気配線だけど土曜日に人を増やして終わらせたいから、
それまでにLGSの建て込みを終わらせるように言ってくれないかな」
「LGSも人増やして木曜日には終わらせて金曜日にはボードを貼るよ」
「そしたらボードは片面で止めといてもらえると助かる」
それぞれがそれぞれの立場で、知恵を出し、問題を洗い出し、
チームに、プロジェクトに、貢献できる方法を考えてくれました。
これはサーバントリーダーと呼ばれる現場支援型のマネジメントです。
トップダウンのプロジェクトであっても、
トップの理念や思想が末端まで浸透しているか否かが肝心です。
作業員に同じ作業をやらせるにしても、作業や報酬ではなく、
目標と目的に従事してもらうと改善案がどんどん出てくるのです。
では個人的な目標達成にひとりで取り組んでいる場合はどうでしょう?
目標達成するためにタスクやルーティンに分解して取り組んでいる時、
作業に従事してないか、報酬に従事してないか、目標と目的に即しているか、
自分の取り組む姿勢を振り返って見直す必要があります。
目標を公言して周りを巻き込めと申し上げました。
同じ目標を目指す仲間や既に達成している人と繋がれとも。
助言者や協力者、応援してくれる人、一肌脱いでくれる人、
そんな人々と目標と目的を共有してください。
自分のことのように喜んだり、悔しがったりしてくれる人がいます。
あなたの取り組みに心動かされて、新しい一歩を踏み出す人がいます。
そんな人々としっかり繋がって、苦楽を共にする覚悟を持てると、
感謝の気持ちが自然に湧いてきて、始めて良かったと思えるはずです。
そんな在り方のほうが人生が豊かだと思いませんか?